カルチャー交感ノート

今週聞いたもの、見たもの、読んだものを書いて、交換して交感するノート

小沢健二「So kakkoii 宇宙」

 

彗星

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 昨年の個人的な年間ベストを選ぶ時、このアルバムをTop10に入れてしまうか非常に迷った。こんなに説教くさいアルバムもないよなぁ、と思ったのだ。

また冬になり、そして時は2021。またも街を憂鬱が覆い、イメージの偽装が横行する?しかしね、その音楽は古くならないのだ。それはキラキラするばかりの時代の色がついてしまった、かつての小沢健二の音楽も含めて。あの憂鬱と混沌と混乱のカウンターの中で提示されてしまった、毎日への啓示すらも含めてそうなのである。
さて、ストリングスを浴びせられ、"その謎"について考えている私に追い向かってくるのは、その次の曲のイントロ。私はこの曲がずっとずっと大好きなのだ。

羽田沖 街の灯がゆれる
東京に着くことが告げられると
甘美な曲が流れ
僕たちはしばし窓の外を見る

もしも間違いに気がつくことがなかったのなら? 

この導入はもはや演歌ではないか、と思う。演歌なのだから、私はその彼であり、それは飛行機に乗せられていることであり、同じように東京の街を見る。夜だろうか。
そのことは確かに「意志」であり、そうなのだ、と私は同じように思う。
(どうしようもなく美しい導入ではないだろうか?)

 

さて、ところで、それより、それはそうと、コンテンツは責任を取らない。
足を取られずに良い顔だけみて嘲笑い、ふわふわとまた簡単に何処かへと飛んでいってしまう。

それに限らなく似た笑顔の君は、
渋い顔をして、柔らかく、しかし固まった意志のある言葉になって問いかけてくるので、
それを聴く笑顔の僕は同じように渋い顔をして、「難しいなぁ」なんて言って消費して順番をつける。しかしだからこそ君はしっかりと責任をとるのだ。

 

「寝たら、昨日の私はもう今の私とは違う私だから」なんて、適当なこと言って日々の責任をとらずにいる私に問いかける。
だから、私も意地になって問いかける。

果たして覆ったその「嘘」は、
覆われたことは、騙されたことは本当だったのか?
君に対し問いかけなおしてみることができる。
君は責任を取れる。
ちゃんと残しておくというのはどうしようもなく誠実なことだと思う(Twitterの新機能の話ではない)。
だから私は君のことをいつまでも嫌いにならずにいられるのだ。

だからこうして、冬が来るたびに聞き返してクビを傾げたり、泣きそうになったりすることができる。

溢れる愛がやってくる!
その謎について考えてる!

 

やはり、とても大好きなアルバムです。

 

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