カルチャー交感ノート

今週聞いたもの、見たもの、読んだものを書いて、交換して交感するノート

「魔女見習いをさがして」を観た

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おジャ魔女どれみ」という作品を知っているでしょうか。少なくとも、名前くらいは知っているだろうけど、必ずしもすべての人が通ってきたコンテンツではないと思う。シリーズが地上波で流れていたのは4年ほど。決して短いというわけではないけれど、”ニチアサ”の女の子向け作品という特徴から、視聴者は限られるというか、いやそれも語弊があって、女の子だけではなく男の子も、物語にでてくる主人公格の3人からしてもわりと広めの世代に受け入れられてきた作品ではあるのだけれど、どんな人にも気軽に「観て!」と声をかけてしまうには「20周年記念作品」の看板は重い。

しかし、これは読んでくれているあなたの映画であるし、私の映画であるのだ。本当なんだよ。「おジャ魔女」を知っているか、これまで観たか、通ってきたか、愛してきたか、そんなこととは関係なく(もちろん、愛しているひとのための記念作品ではあるのだ)、これはあなたの、私の、僕たちの映画なのだ。かくいう私も「おジャ魔女」ド真ん中世代ではあるものの、毎週視聴していたわけではなかったし、大人になってから、友達がカラオケで入れた「おジャ魔女カーニバル!!」(本当に名曲!)を聴いて存在を思い出したほどである。余談だけど、なにせ2人いる監督のうちの1人は、この作品に関わるまで「おジャ魔女」を観たことがなかったらしい。

公開中の映画なので、あまりとやかく内容について触れられないのが心苦しいところなのだけど、心を打ったシーンがいくつもあった。例えば、

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これは公開日がまだ決まる前の特報ポスターなのだけれど、このポスターで影になっている"魔女見習い"が空を飛ぶシーンが何度かあって、それは僕らが叱責されているオフィスの、恋人と揉めている部屋の、人生に迷っている教室の、そんな窓にキラリと映って、通り過ぎていく。秀逸なのが、この影が魔女見習いでなく、他の何かでも問題がない、別に構わないということなのだ。例えば、育った街を出たサトシが、マサラタウンの空に見上げたホウオウ。サクラちゃんが追いかけて集めている、クロウカードのキラリと光る影。物語で3人が持ち歩いている”魔法玉”は仮面ライダーの変身ベルトだっていい。なんなら初めて買ったギターに貼り付けた、ナンバーガールのステッカーだっていいのだ。もちろん、物語の中でのそれは魔女見習いの影でなければならないし、魔法玉が呼び寄せた出会いではあるのだけれど、しかしこれは、大好きなもの、好きだったもの、信じ続けていたもの、そんなものを友達に、目の前のきみに伝えたい僕らのための映画だし、あなたと私が友達である理由を書いた物語なんだよ。魔法を信じている、かつて信じていた、すべての人へ、SMAPの「Joy!!」を聴いて泣き笑いした全部のともだちへ、観て欲しい。ねぇ、だってさ、あなたの机の引き出しからもドラえもんが出てくるかもって、そんなふうに思ったことあるでしょ。観てね、そしてあなたの魔法についていつか私たちに語ってほしい。どうしても気になるなら、アマプラでテレビシリーズの最初の2.3話か、5話くらいを観てから行ってくれれば、予備知識としては十分だと思うのだ。少なくとも、シネコンで全国公開している分、普段「観て〜〜〜!!」と言ってしまう単館上映の映画よりオススメしやすい作品なので、皆さんよろしくお願いしますね。

 

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